レポート
9月6日(水)から9月13日(木)まで、こども学海外研修が北米大陸カナダのトロント、モントリオールで実施されました。海外研修は2019年以来、コロナ禍を経て4年ぶりの実施です。
スケジュールは次の通りです。
9/6 大阪国際空港から東京国際空港を経て、トロント・ピアソン国際空港へ。トロント泊。
9/7 バスにてナイアガラの滝、ナイアガラオンザレイク訪問、トロント泊。
9/8 トロント大学E. ジャックマン博士記念こども学研究所附属ラボラトリー・スクール視察、
隣保会カヌー・ランディングこども園視察、トロント泊。
9/9 トロント国際空港からモントリオール・ピエール・エリオット・トルドー国際空港へ。
空港からバスにてモン・トランブラン訪問、モントリオール泊。
9/10 ジャン・タロン市場、ノートルダム聖堂、旧市街地、ジャック・カルティエ広場訪問、
モントリオール泊。
9/11 私立プライオリー小学校視察、ダウンタウン・イートンセンター訪問、モントリオール泊。
9/12 モントリオール国際空港発、日付変更線を通過。
9/13 成田国際空港着、バスで東京駅へ移動して新幹線にて帰阪。
こども教育学科の学科ブログにそれぞれの日の報告と写真とが掲載されておりますので、こちらもあわせてご覧ください。
今回はトロントとモントリオールという、二つのまったく個性の異なる街を訪れることができました。カナダ最大の都市、オンタリオ湖畔のトロントでは、J. トルドー首相の「Diversity is our strength」との発言にも現れたカナダの多文化主義政策、多様性重視の文化に触れることができました。二つの視察先においても、そうした政策がこども教育にどのように現れているのかを知ることができたと思います。
とりわけトロント大学こども学研究所附属のラボラトリー・スクール(実験学校)では、最新のこども学研究の成果とその理念の、実践への適用について学ぶことができました。また、次に訪れた隣保会のこども学校は都心部に建てられた最新の施設でした。カトリックとパブリックの二つの教育委員会が併設されており、そのそれぞれに応じた保育・教育のプログラムが用意されており、しかしそれが同一施設で展開されていて、ここでも多文化主義の現実に触れることができました。
トロントから少し足を伸ばして訪れた、世界の一大観光地であるナイアガラの滝では、雄大な自然の景観に圧倒されましたが、同時に、これが五大湖・セントローレンス川水系の要所でもあり、不思議な地形からカナダという国の起源に思いを巡らすこともできました。
オンタリオ湖からセントローレンス川を下ると、川の中州に、カナダ第二の都市モントリオールが姿を現します。カナダの公用語は英語とフランス語ですが、モントリオール(フランス語ではモン・レアル)の属するケベック州ではフランス語だけが公用語です。屋外掲示物や企業などの使用言語についてもフランス語使用を保つための規定があり、町並みも欧風に保たれていて(地下鉄もフランス・パリ方式)、多様性の街トロントとの明確な違いが感じられました。ケベック州では1960年代後半から独立運動が展開されてきましたが、そうした歴史(加えてかつてのアッパーカナダとロウワーカナダの対立と協和)にも興味を向けさせられました。視察先はそのようなモントリオールで英語による教育を展開する明確な個性をもった私立学校で、こちらでもこども教育における多様性について深く考えることができたと思います。
そうしてプログラムはすべて滞りなく進んだのですが、そんな中、滞ったのは飛行機でした。トロントからモントリオールへの飛行機が、またモントリオールから成田への飛行機がそれぞれ遅延したのでした。前者の結果、モントリオール郊外の高原の街、モン・トランブランの訪問は、山頂に登るゴンドラ運行にぎりぎり間に合うという時間になりました。それでも高い緯度とサマータイムのおかげで、山頂からの景色と山間避暑地の美しい町並みを楽しむことができました。
後者、帰国の飛行機の遅れは、成田から伊丹への国内便乗り継ぎに間に合わず、成田から東京駅へバスで移動、そして東京駅から新幹線で帰阪したのは日も変わろうとする時間になるという結果になりました。それでも、無事にそれぞれ帰宅することができました。おかげで長く過ごした空港での時間も思い返せば心に残るものです。飛行機の遅延も安心安全のため──そうして、すべて併せて大変に意義深い、学ぶところ多い研修になったと思っております。