日本文学作品研究6

受講区分 学科 授業期間 履修年次 単位 担当者
  日専 通年 2・3 2 田中 裕之

授業の主題(テーマ)
作品論の試み

授業の目標(講義概要)
作品を研究し、論じるということは、漫然とした読書とはまったく異なる行為である。この授業では、先ず、作品を緻密かつ正確に読むために必要な、幾つかの基本的な事柄について述べ、その上で、現代日本文学を代表する作家の作品を対象に、具体的な作品研究の実例を示してみたい。前期は大江健三郎の作品「飼育」「芽むしり仔撃ち」「不意の唖」を、後期は安部公房の「赤い繭」「燃えつきた地図」を取り上げる。

授業計画
(前期)
T、作品論のために
U、大江健三郎「飼育」作品分析
・全体構成から
・空間、登場人物の配置から
・「僕」の成長について
・反戦小説としての「飼育」
V、大江健三郎「芽むしり仔撃ち」作品分析
・「飼育」との類似/相違点から
・先行テクストについて
・「僕」と「弟」について
・「僕ら」の連帯について−成立から崩壊まで−
・村人の帰村と「僕」の抵抗について
W、大江健三郎「不意の唖」作品分析
・全体構成から
・空間、登場人物の配置から
・作品のテーマと執筆動機について
(後期)
X、安部公房「赤い繭」作品分析
・先行研究を踏まえながら
・作品外の資料を活用して
Y、安部公房「燃えつきた地図」作品分析
・当時の社会状況ならびに安部の都市論について
・都市小説としての「燃えつきた地図」
・主要登場人物について
・結末の曖昧さについて

評価方法
原則として期末試験の成績によるが、出席状況を考慮する場合もある。授業の中で課された提出物は必ず提出すること。提出がなければ、期末試験の受験資格を失うこととなる。

テキスト書名 編・著者名 出版社 価格
『死者の奢り・飼育』『芽むしり仔撃ち』『燃えつきた地図』 大江健三郎・安部公房 新潮文庫  

備考
作品を熟読した上で授業に臨むこと。