外国児童文学演習U1

授業コード 受講区分 学科 授業期間 履修年次 単位 担当者
261101   児童文学科 前期 2 1 廉岡 糸子

授業の主題(テーマ)
有名なおとぎ話への挑戦

授業の目標(講義概要)
イギリスでは19世紀後半期になって「赤頭巾ちゃん」「シンデレラ」「眠り森の美女」「美女と野獣」などが一般に浸透した。しかし一方でこれらの有名なおとぎ話が語る紋切り型のパターンを崩す話が書かれている。ペロー、グリム、ボーモンらのおとぎ話と、それらを基に再話されたおとぎ話や創作の話を読み、その変容に注目する。そしてそれらが語る時代の価値観や有名なおとぎ話に向ける作家の視点を探り、ヒロインたちが放つメッセージを解読する。

授業計画
●おとぎ話の変容 
・おとぎ話を読み、レジュメを作って、読解したことを発表する。
 1.「赤頭巾ちゃん」
    「赤頭巾」の原話「祖母の話」とペロー(仏)、グリム兄弟(独)の「赤頭巾ちゃん」との比較。
    さらにウォルター・デ・ラ・メア(英)、ジェームズ・サーバー(米)、キャサリン・ストー(英)、
    トミー・アンゲラー(米)らの「赤頭巾」話を取り上げ、作家の視点の違いを見る。
 2.「シンデレラ」
    バジーレ(伊)の「シンデレラ」(原話)とペロー、グリムの「シンデレラ」との違いに注目する。
    さらに現代に語られたジェイン・ヨーレン(米)の「シンデレラ」に当たり、変革されるシンデレラ像を見る。
 3.「眠りの森の美女」
    バジーレの「眠りの森の美女」(原話)とペロー、グリムの「眠りの森の美女」とを比較する。
    その上でジョージ・マクドナルド(英)の再話に当たり、作者の視点を見る。
 4.「美女と野獣」
    ボーモン(仏)の「美女と野獣」とモルズワース(英)の再話を比較し、再話に見られる作者の視点を見る。

●創作おとぎ話に見られる作家の視点
 1. チャールズ・ディケンズ(英)「魔法の魚の骨」
 2. ジュリアナ・ホレイシャ・ユーイング(英)「人食い鬼の求婚」
 3. メアリー・ド・モーガン(英)「おもちゃのお姫さま」
 4. イーディス・ネズビット(英)「メリサンド姫ーあるいは割り算の話」「最後のドラゴン」

評価方法
発表の内容、レポート、2/3 以上の出席で評価する。

テキスト
取り上げるおとぎ話はプリントで配付する。

備考
進度によって全ての話を取り上げられない場合もある。