文化心理学

授業コード 受講区分 学科 授業期間 履修年次 単位 担当者
232401   心理学科 前期 3・4 2 太田 裕彦

授業の主題(テーマ)
人間とその行動の形成に果たす文化の意義と役割について考え,文化行動の心理学的理解を図る。

授業の目標(講義概要)
文化心理学とは何かを概説し,人間の心理学的特性や諸行動がいかに文化的な影響を受けているのか,世界に普遍的な人間像がありうるのか,といった問題を理解し,文化による人間形成を考える視点を養うことを目指す。主としてテキストの章構成に沿って進めていく。

授業計画
第1回 オリエンテーション:文化心理学の概要を示し,本講義のねらいと進め方について説明する。 
第2回 文化と記憶(第1章):記憶を取り上げ,記憶の背景にある社会・文化的側面,個人の記憶と社会の記憶の関係,文化の伝達・継承などの問題を考える。
第3回 考え方・感じ方の文化心理学(第2章):認知や感情というものがいかに文化によって規定され,文化的な差異が認められるか,という問題について考える。 
第4回 文化と動機づけ(第3章):達成動機や原因帰属,自己評価や自己決定などと文化との関わりを取り上げる。
第5回 文化と集団(第4章):個人主義と集団主義を対比し,そこに見られる文化的影響について考える。 
第6回 文化と発達(第5章):人間の発達が生物的のみならず文化的にも大きく規定されている点について理解する。 
第7回 文化と教育(第6章):学校教育と文化との強い結びつきについて考える。 
第8回 文化とジェンダー(第7章):ジェンダーの問題がいかに文化的に規定されているかを「性」の諸問題から考える。
第9回 文化と高齢化(第8章):超高齢社会を迎えるにあたり,社会・文化的観点から老年期の問題について考える。
第10回 文化と死(第9章):ホスピスの例を通して死を迎える人間とそれを取り巻く人々の行動を文化的観点から理解する。
第11回 文化と食行動(第10章):生物的な基本行動である食行動にいかに文化が影響を与えているかを改めて考える。
第12回 文化と宗教(第13章):文化と不可分の宗教について宗教心理学的視点から考える。
第13回 文化と共生(第14章):さまざまなレベルでの異文化間葛藤とその克服を促す異文化理解の展望について考える。
第14回 まとめ:本講義の総括を行う。必要に応じて補足を行う。

評価方法
出席および授業への参加等:40%
学期末試験成績:60%

テキスト
「文化行動の社会心理学」金児暁嗣・結城雅樹編 北大路書房 2500円+税

備考