臨床心理的地域援助 |
授業コード | 受講区分 | 学科 | 授業期間 | 履修年次 | 単位 | 担当者 |
231201 | 心理学科 | 後期 | 3・4 | 2 | 橋本 秀美 |
授業の主題(テーマ) |
この授業では、互いに助け合っていくような社会をどのように作っていき、臨床心理学がどのように後押しをするのかを、一緒に考えていきたいと思います。また、臨床心理学の4本柱の一つである「臨床心理地域援助」は、今後臨床心理士などをめざす人にも大切な領域と考えます |
授業の目標(講義概要) |
臨床心理学というと、心の悩みや困難を抱えている人に対して専門家が1対1で面接を行い、その問題を解決していくといったスタイルが中心です。しかし、一方では限られた時間と場所での臨床心理相談には限界もあります。災害や事件で傷ついた人たちに、ボランティアや同じ地域に住んでいる人たちが、親身になって話を聞いてあげることで、十分にその目的を達することができます。専門家は、そういった聞き手側の人に助言したり、それでは癒されない本当に深い傷を受けた人たちに対応すればいいのです。さらに、最近のように子どもたちのいじめや不登校などの問題、自死という悲しい選択があとをたちません。こうした人たちを支援するのは、必ずしも臨床心理学の専門家である必要はない場合もあります。また、専門家とこうした地域のマンパワーや地域のシステムとの連携が何より大切にもなります。 このような、地域の人たちやボランティアの人たちが、心理的な悩みを抱えている人たちの援助をしていこうする取り組みは“地域援助(コミュニティ・アプローチ)”と呼ばれており、臨床心理学の大きな領域の1つとなっています。さらに、地域がそれらの援助のシステムを整えていくことも大切です。この授業では、そうした互いに助け合っていくような社会をどのように作っていき、それらを臨床心理学の専門家がどのように後押しをするのかを、一緒に考えていきたいと思います。 それには地域援助のシステムが不可欠なのです。危機状況における援助システム作りはもちろん、「いのちの電話」のような電話相談やスクールカウンセラーをはじめとした身近な援助資源の充実など、地域援助が貢献できることはたくさんあります。臨床心理学者として、行政や教育機関、そして一般の市民への啓発活動も含めて、今後も地道な研究と実践活動を続けていきたいと思っています。(談) |
授業計画 |
1.コミュニティ援助とは 2.学校領域におけるコミュニティ援助の実際 @学校コミュニティの特徴と対象 A学校コミュニティの査定 B学校コミュニティ援助の方法と実際 3.産業領域におけるコミュニティ援助の実際 4.福祉領域におけるコミュニティの実際 5.ヒューマンサービスの組織 6.地域援助の実践@ 7.地域援助の実践A 8.これからの臨床地域援助のあり方 9.本授業のまとめ |
評価方法 |
出席できることが前提です。出席や提出物等の加点法で評価します |
テキスト |
「臨床心理地域援助研究セミナー 」至同文堂 野島 一彦著 2600円 |
備考 |