教育本質論

授業コード 受講区分 学科 授業期間 履修年次 単位 担当者
291101   教職 後期 1 2 隈元 泰弘

授業の主題(テーマ)
教育と人間の「善さ」

授業の目標(講義概要)
どのような教育がよい教育であるかという問題は、市井の議論の対象ともなるが、この問題は実は「善さ」とはそもそも何を意味するのか、そして人間の「善さ」はどのようにして発達するのか、というきわめて学問的な観点抜きには語りえないものである。本講は、この「善さ」の発達に関する新しい理論─アメリカの教育思想家コールバーグの理論─を解説し、さらにそれをさまざまな教育思想と比較・対照することによって、よい教育ということの本質的意味を考察する。

授業計画
第1章 コールバーグ理論の意義と特徴
  第1節 相対主義克服の試みとしてのコールバーグ理論
  第2節 コールバーグ理論の思想史的位置づけ

第2章 コールバーグ理論における人間の段階的発達の思想
  第1節 コールバーグ理論に至る人間教育思想の歴史
  第2節 善さの発達段階

第3章 コールバーグ理論に基づく教育
  第1節 コールバーグ理論における知と行為の関連
  第2節 ソクラテス的対話法とジャスト・コミュニティ

第4章 日本におけるコールバーグ理論の受容とその問題点 
      ――ディレンマ教材に基づく授業構成をめぐって――

評価方法
期末試験による。講義の全般にわたって幅広くその内容的理解を問う。出席状況確認のため、全期間中数回出席を取るが、出席自体を点数化することは一切しない。

テキスト
編・著者名:佐野安仁・吉田謙二編 書名:コールバーグ理論の基底 出版社:世界思想社 価格:1,950円

備考
教育の本質を突き詰めて考え抜くことがねらいである。そのため、抽象度の高い論理的思考が要求される。できるだけわかりやすくするよう努めるが、受講生の側にも綿密な予習・復習、積極的な質問の意欲等が必要である。