中国医学に関わる事柄を様々な角度から考える。 中国医学というと鍼灸や漢方薬のイメージが強く、複雑な経絡(気が流れる道)や経穴(ツボ)を示した人体図や小難しい漢字の薬名を思い浮かべることが多いと思う。もちろんそれらに興味を持つ者もあるだろうが、この授業ではそれらを事細かに解説することはしない。 まず、中国医学に関わる伝説上・歴史上有名な人物、例えば神農・黄帝・扁鵲・郭玉・張仲景・華陀・葛洪などに注目し、そのエピソードを史書から読み取り、中国医学のルーツを探ってみたいと思う。 また、中国医学の基本理論である易や陰陽五行思想などについても、できるだけわかりやすく解説し、西洋の実証医学との違いについて考えてみたい。 さらに中国医学をより身近なものにするために、我々がよく知っている諺、例えば「風邪は万病のもと」「酒は百薬の長」「病はロより入り、禍は口より出ず」「良薬は口に苦し」「病、膏盲に入る」などについても説明する予定である。十数回という少ない授業の中で、「中国医学」という大きなテーマを扱うのであるから、多くのものについて十分な説明を尽くすことは不可能である。授業で取り上げる事柄については基本的には教師の選択になるが、授業参加者の興味の方向を見極めながら、リクエストにもできるだけ答えて、臨機応変に授業を進めていきたいと考えている。 |