外国児童文学講義(露語圏)

授業コード 受講区分 学科 授業期間 履修年次 単位 担当者
134801   児童文学科 前期 3・4 2 田中 泰子

授業の主題(テーマ)
ロシア文学の特徴

授業の目標(講義概要)
昨年までは、ロシア児童文学作家のベストテンなどに焦点をあてて文学史的に見てきたが、今年は、ロシア児童文学が 欧米や日本児童文学とどのように異なるかに重点をおいて、テーマ別に考えていきたい。すなわち、@民族の根っこ、ファークロアを大切にする。 A社会の弱者の痛みを共有する19世紀文学。B未来である子ども達に人類遺産の最高の文化を! C真実による教育。 D響きの文化を大切にする。誰もが暗誦しているわらべ歌、抒情詩等。E市場から離れたところにあった文化などのテーマで。

授業計画
半年講義なのでいつも時間が不足がち。しかも隣国なのにロシアのことは殆ど知られてない。先ずロシアという国、民族についての導入部に続いて、6つのテーマに沿って授業を進める。つまり、@ファオクロアを大切にする―では「おおきなかぶ」や「てぶくろ」「うるわしのワシリーサ」など昔話やわらべ歌に触れ、その後「せむしのこうま」(エルショーフ)、「漁師と魚のものがたり」(プーシキン)「イワンの馬鹿」(トルストイ)「森は生きている」(マルシャーク)等フォークロアのモチーフで創作された作品を扱う。A社会の弱者の痛みを共有する19世紀文学――ではツルゲーネフ、ネクラーソフ、ドストエフスキイ、チェーホフなどの子どもに分かり易い作品をとりあげる。B未来である子ども達に人類文化遺産の最高のものを!――ではゴーリキイ。チュコーフスキイ、マルシャークなどが新時代の子どもたちのために選んだ文献リストや20年代30年代のイラストを紹介。Cでは「真実の教育」を掲げたL.トルストイやB.ジトコーフ作品を紹介する。Dの「響きの文化」を重視する教育の中から、わらべ歌や抒情詩の出版部数や学校での取り組みなどについて、日本との比較をする。最後のEでは具体的には、ロシアの少女小説作家L.チャールスカヤ作品を紹介しながら、児童文化と市場との関係を、日本、現代のロシアでの例をあげて考えてみる。

評価方法
学期末にペーパーテスト。半年間に扱った作品等についての7つぐらいの問題の中からを選んで答えてもらう。

テキスト
翻訳特集「アグネブーシカ」@(B.ジトコーフ作品集) 「アグネブーシカ」A(L.チャールスカヤ作品集)  「アグネブーシカ」B(ロシア児童用戯曲集―フォークロア中心)

備考
ロシアのものは邦訳されているものが圧倒的に少なかったり、出ていても絶版が多い。授業で扱う作品そのものを(例えば「アグネブーシカ」で)必ず読んで授業に出てほしい。
半年間に扱った作品等についての5〜7つの問題の中から1つを選んで答えてもらう。