教育学講義A

受講区分 学科 授業期間 履修年次 単位 担当者
  科専 前期 2・3・4 2 新 茂之

授業の主題(テーマ)
教育に対する新たな視座−ケアリングの観点から−

授業の目標(講義概要)
アメリカの教育哲学者ノディングズ(Noddings, N.)は、教師と生徒の関係を、ケアしケアされる関係とみなして、これまでそれほど力点がかけられていなかった部分に照明を当てました。ノディングズは、ケアリングの観点を唱道したのです。ノディングズに従っていえば、ケアリングの関係は、教師が子どもを受け容れ、そして、子どもが教師を受け容れることで成立する助け合いの関係であると言えます。この講義では、そうした関係について理解を深めていきたいと思います。

授業計画
はじめに
 ・ノディングズがなぜケアリングの考え方を提起するようになったのかを探ってみたいと思います。(第1回、第2回)
T ケアするひととしての教師
 ・ケアするひとには、ケアされるひとを受け容れることが求められています。ひとを受け容れるとは、どういうことでしょうか。(第3回、第4回)
 ・受け容れに対置される係わり方として、投げ入れがあります。投げ入れが相手の立場に立つことと結びついている点を指摘したいと思います。(第5回)
U ケアされるひととしての子ども
 ・ケアされるひとにも受け容れが求められています。それは、ケアするひとのする受けれと同じなのでしょうか。それとも、違うのでしょうか。(第6回)
 ・ケアリングの関係にはケアされるひとの係わりが欠かせません。ケアリングの関係におけるケアされるひとの貢献を明らかにしましょう。(第7回)  
V 子どもの成長を促すケアリング
 ・ケアリングは、相手の成長を促す営みでもあります。ここでいわれる成長とは、いったいどのような事態を言うのでしょうか。(第8回)
 ・ケアリングの係わりがどのようにして子どもの成長を促すのかを考察して、子どもだけではなくて、教師もケアリングの係わりを通して成長していることを指摘したいと思います。(第9回、第10回)
W ケアリングの考え方−ほかの考え方との対比において−
 ・ケアリングの考え方は、コールバーグ(Kohlberg, L.)の考え方に対する批判を含んでいます。コールバーグの考え方を概括して、これまでの考察を踏まえながら、別の角度からケアリングの考え方を捉えます。(第11回、第12回)
 ・愛他行動の心理学との異同にも照明を当てましょう。(第13回)おわりに  
 ・以上の論究に基づいて、ケアリングの考え方を批判的に統括して、ケアリングの考え方が教育の場面でどのような意義を新たにもたらしたのかを明らかにして、学期末の定期試験に備えたいと思います。(第14回、第15回)

評価方法
学期末の定期試験で評価します。

テキスト書名 編・著者名 出版社 価格
ケアする心を育む道徳教育−伝統的な倫理学を超えて− 林泰成編著 北大路書房 2,400円(税別)

備考
テキストは、かならず購入してください。後期に開講される「教育学講義B」を継続して履修していただくと、ケアリングの考え方についての理解がいっそう深まるでしょう。