西洋の知

受講区分 学科 授業期間 履修年次 単位 担当者
  教養 前期 1・2・3・4 2 隈元 泰弘

授業の主題(テーマ)
善く生きることと生命の価値

授業の目標(講義概要)
善い人生と楽しい人生のどちらを選ぶかと尋ねられたら、どう答えるだろうか。意外にむずかしいだろう。善さとは何かがはっきりしないし、楽しさも年齢や時代と共に変わっていくからである。現代では、この問題は生命や医療の倫理と深く結びついている。例えば自分の子どもを遺伝子操作で理想の子どもにできたら――美しく才能豊かでスポーツ万能――自分もその子も幸せだろうか。それは善いことだろうか。このような善さと生命の問題を現代西洋思想を通して考える。

授業計画
序 善さ・楽しさと生命の倫理
第1部 善さと楽しさ
第1章 善さの二つの考え方
(1) 「何が善いのか」を考えることが大切という思想
(2) 「なぜそう行為するのか」が善さを決めるという思想
第2章 善さとは何か
(1) 善さは知ることができるという思想
  @ 善さは感覚でわかるという思想
  A 善さは知性でわかるという思想
  B 善さは「直観」でわかるという思想
(2) 善さとは感情的な思いであるという思想
第3章 行為の理由としての善さ
(1) 皆にとって得なことが善いという思想
(2) 善さは話し合って決めるという思想
(3) 「楽しさ」よりも「正しさ」が大切だという思想
第4章 善さと嬉しさの分離と一致
(1) 善いことをするのは苦しく、善く生きても幸せにはならないという思想
(2) 善いことができると心から嬉しいという思想
第2部 生命の倫理
第1章 人間中心主義と人間偏重主義
第2章 生命の尊厳――どこから人間か、どこまで人間か――
(1) 妊娠中絶
(2) ホスピス
(3) 安楽死と尊厳死
第3章 遺伝子操作
(1) 遺伝子差別
(2) 胎児の選別
(3) 精子・卵子の選別・売買
(4) 遺伝子操作とデザイナー・チャイルド
(5) 遺伝子操作と自然との調和

評価方法
基本的に期末試験による。出席状況も参考とする。

テキスト書名 編・著者名 出版社 価格
テキストは授業中に指示する。      

備考
現代我々が直面している様々な困難に西洋の思想はどのように答えるのか。この問題を「善さ」と「楽しさ」という観点を中心として考えたい。